作品と文豪への敬意を込めて――

2019年12月から上演される、DMM GAMESの『文豪とアルケミスト』を原作とした舞台『文豪とアルケミスト 異端者ノ円舞(ワルツ)』

2019年2月に上演された『文豪とアルケミスト 余計者の挽歌(エレジー)』に続く第2弾の舞台作品となります。

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初登場のキャラクター&キャストも迎え、志賀直哉・武者小路実篤・有島武郎の白樺派を中心とした物語が描かれる本作。今回はW主演を務める谷佳樹さんと杉江大志さんに加え、杉山真宏さんに稽古直前での心境を伺いました!

“白樺派”を演じる3人を直撃!

――まずは改めて、ご自身が演じられるキャラクターについての印象やご感想をお聞かせください。

 僕の演じる志賀直哉というキャラクターの元となった人物は、子供がそのまま大人になったような方で……とはいえ世間から見られている目とは少し異なるといいますか。自分が抱えているものや家族の問題には深いものがあり、父親との確執があったり子供を病気で亡くしたり……そうしたものが著書の『和解』から感じられて、自分の“等身大”を描いていると感じました

世間的には幸せに映っていたかもしれませんけど、お金持ちにはお金持ちなりの苦労があると思います。武者(武者小路実篤)を家族同然に大切にしていた意味とか、志賀自身にとっての文学とはなにか、とか……そうした苦悩のような部分も考えていきたいですね志賀の表のイメージというより、裏ではこう思っているんだよ、こういうひとなんだよというのを演技でも伝えられたらと思います。

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杉江 『文豪とアルケミスト』のキャラクターとしての武者小路実篤は前向きで明るくて、元気なところがとても印象的です。でもひとって、そんな明るさだけなんてことはないですよね。だからこそ垣間見える部分に惹かれるんだと思いますし、そんな部分で人間味を出していきたいなと思っています。今回はそうしたところに焦点が当ててもらえるので、丁寧に作っていきたいですね。

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杉山 僕が演じる有島武郎のキャラクター紹介に“生きることをたまに諦めたような顔をする”という記述を見たんですけど、そんな顔をする人間が持っているものは何だろうと感じました。そこに至るまでの想いや理由、このひとが書く小説ってどんなものなんだろうとか……そうした部分に対してより深みを増しながら演じられればと思います。

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――杉山さんは今回からの参加となりますが、作品へどのような印象をもたれましたか?

杉山 プロットを見たり、作品を調べたりすると、格好いい文豪たちが登場するだけではないというか……とても深いですよね。知れば知るほど熱い作品なんだなと思うようになりました。なので演じさせて頂けるのがすごく嬉しいですし、いまからとても楽しみです。

――谷さん・杉江さんは前回を振り返ってみていかがでしょうか?

 いい役どころだったよね。オイシイところをもらったというか(笑)

杉江 ねー!(笑)。とくに志賀は前回も太宰との関係性で物語に食い込んでいたしね。作品全体の印象としては、すごくひとの芯に迫るところを描いていながらもハッピーでしたよね。

――もっと暗い展開になってもおかしくはありませんでしたが、前回は希望に溢れた素敵な終わり方でしたね。

杉江 そうですね。それがとても印象的だったんですけど、それを形作っていたのが良くん(太宰治役・平野良さん)の太宰でした。今回はその太宰がいませんので、ガラっと違った色味になるんだろうなと。でも、ハッピーなところは作品の色として引き継いでいきたいなと思います。とはいえ、まったく同じとはいきませんから重苦しくなることにも怖がらずに向き合いたいですね。

 前回はチーム感がすごく強かったですね。個々の役者の色は違うんですけど、それぞれが持つ色をお互いに引き出し合っていて。いろいろな色が合わさってレインボーができたみたいな

杉江 (口笛)

 いま、良いこと言ったよね?! 赤、青、黄色……。

杉江 いや、からかったんだけど!!(笑)。

 レインボーなんだよね。いろいろな色が混ざっているからこその魅力もあると思うんですけど、今回はそんなにカラーはいらないなと思っていて。3色くらいでいいんじゃないかなと。

杉江 三色団子でいくと。

 そういうのじゃなくて!(笑)。それぞれの持っている想いがずっと太いと思うんですよ。白樺派を中心として、ひとつの線が太いからこそ強いものになると思います。前回は細い線がたくさん集まってひとつにまとまった繊細さがありましたが、今回は皆で戦うという強い意志のある塊というか、そんな感じでいけたらいいなと思います。

杉江 前回はレインボーで、今回は三色団子という感じですね!

 そこだけ書かれたら訳分からないやん!!

――本格的な稽古はこれからとのことですが、ぜひおふたりから杉山さんへ前回の稽古場の雰囲気をご紹介頂ければ。

杉江 前回は仲良しだったよね。

 仲良しだったけど、ピリッとした空気もあったよね。

杉江 そこがちょっと不思議だったよね。それを繋ぎ合わせていたのがやっぱり良くんだった。良くんがいなかったらバラバラだったかもしれない。

 うん、絶対バラバラだった。

杉江 仲良しでずっと一緒にいたんだけど、なれ合い的に相手を好きっていうのじゃないんだよね。ちゃんと作品に向き合う仲間であって、友達のような仲良しっていうより切磋琢磨できる関係だった。今回はまたキャストもガラっと変わるし、良くんがいないから全然違う雰囲気になると思うよ。それくらい前回は良くんが座組の色だった。

杉山 なるほど……。顔合わせの時は僕もピリピリしながらいけばいいのかな?(笑)。

谷・杉江 (笑)

杉江 僕達も仲良しそうに見えるけど、プライベートではほぼ会わないもんね。

杉山 えっ、マジっすか?!

 この前もそんな話したよね。なんだろ、やっぱり友達とかじゃないんだよね。別に会わなくても、距離が離れてても全然よくて、プライベートで別に会わなくてもいいよねーって。

杉江 それがすごく楽なんですよね。

 そうそう、めちゃくちゃ楽な存在なんだよね。

杉山 そういうのいいですよね、お互いに仕事を通じて高め合っていけるって。

杉江 実は足を引っ張っているのかもしれないけど(笑)。

3人 (笑)

杉山 緊張もしますけど、稽古がすごく楽しみになってきました!

――前回からのキャストが4人、新たなキャストが4人という構成ですが、気になる共演者はいらっしゃいますか?

杉山 ほとんど初対面という方が多いなかで、秀翼くん(国木田独歩役・斉藤秀翼さん)は以前共演させて頂いた方でした。前に共演した時は秀翼くんにアドバイスを貰っていたので、また助けてもらえたらなって思います。杉江さんや谷さんも優しい先輩だなって感じたので、稽古場でも同じ白樺派としてアドバイスを頂けたらなと。いまもこうやって対談できて嬉しいです!

杉江 僕はまだ会ったことないんだけど、斉藤秀翼くんってどんな人?

 秀翼くんとはこの前、ゲストで一緒だったんだよ。稽古を2回ぐらい一緒にやっていて『今度一緒だよね』って話をしてた。彼はすごい“漢”って感じなんだよ。ちょっと大志に似てるかもしれないね、年齢も近いし。僕はあと三津谷亮くん(萩原朔太郎役)が初対面かな。成弥(島崎藤村役・小西成弥さん)も昔から知ってるから。

杉山 秀翼くんはストイックなひとですよね。自分の世界観をしっかり持っていて、マイペースに進んでいくって感じで。

 大志と結構気が合うと思うよ。大雑把なところもありつつ『俺はこう!』ってところもあるし。なんか“昭和の男”って感じ。

杉山 あー、それちょっと分かります(笑)。

杉江 へえー、それは気が合いそう!

――本作の文豪にちなみ、本にまつわる思い出をお聞かせください。

杉江 本……うーん、あんまり読まないんですよね。

 ゲームとか漫画は好きだけどね。

杉江 やっと最近は少し読むようになったんですけど、なかなか時間もなくて。

杉山 僕も漫画以外といったら、読むのはライトノベルばかりですね。これから役を演じる上で『カインの末裔』は読もうと思っています。今回はとくに本編に関わってくるので。

杉江 僕も演じるうえでは、武者小路実篤の作品よりも『カインの末裔』をしっかり読んだほうが良い気がするんだよね。

 武者小路実篤の作品なら、志賀直哉がモデルっていう説もある『友情』は持ってるよ。わりと短いから読みやすいと思う。

杉江 そうなんだ、借りてもいい?(笑)。結構こういう作品読んでるの?

 昔は東野圭吾さんとか伊坂幸太郎さんとかもめちゃくちゃ読んでた。文学で有名な方って言葉の選び方や羅列とか、なにかが特筆しているというか……すごく世界に入りやすいし、目を通してみるといいと思う。

――最後に、公演を楽しみに待つファンへメッセージをお願いします!

杉山 今作から新キャストとして入らせて頂き、すごくプレッシャーもありますが……跳ね除けて、新しい風を吹かせるくらいの気持ちで本番に挑めたらと思います。まだいまは手探りの状態ですが、稽古を重ねてしっかり自信を持ってお客様に届けられたらと思います。精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。

有島武郎(杉山様)

杉江 お話しを頂いたときはプレッシャーもあったんですけど、改めて皆でこうして話しているとワクワクもすごく増してきています。せっかく白樺派に焦点を当てて頂いた回になっているので、不安やプレッシャーはありつつもそんなことを言ってられないなと。いい作品を……と言うのは簡単なんですが、皆さんが想像しているものを一歩でも二歩でも超えられるように精一杯向き合いたいです

個人的には前回、武者と向き合って……すごく好きな存在になったんですよね。この武者小路実篤という役の魅力をまたさらに引っ張り出して、皆さんにお届けできるよう頑張りたいと思います。

武者小路実篤(杉江大志様)

 原作の白樺派のファンの方、前回の舞台を見てファンになった方、本当にたくさんの方がいろいろな角度からこの作品へ期待していると思うんですよ。前作を超えるのはもちろん、僕たちが白樺派のもつ魅力を全面に表現していかないとダメだなと。立ち回りやお芝居はもちろんですが、観たあとに『明日からまた頑張ろう』と思えるような、素敵な作品になったらいいなと思います。まずは僕たちが作品やキャラクターを愛して、しっかり準備してお届けしたいと思います。

志賀直哉(谷佳樹様)

舞台『文豪とアルケミスト 異端者ノ円舞(ワルツ)』

文学作品を守るためにこの世に再び転生した文豪たち。
侵蝕者との戦いは新しい仲間も加わりながらも続いていた。
そんなある日、有島武郎の作品『カインの末裔』が侵蝕される。有島武郎と同じ白樺派である志賀直哉と武者小路実篤は、仲間の作品を救うべく潜書するが――。

【文アル2】MV決定

【出演】志賀直哉:谷佳樹、武者小路実篤:杉江大志、有島武郎:杉山真宏(JB アナザーズ)、坂口安吾:小坂涼太郎、国木田独歩:斉藤秀翼、島崎藤村:小西成弥、萩原朔太郎:三津谷亮、芥川龍之介:久保田秀敏
アンサンブル:佐藤優次、仲田祥司、町田尚規、多田滉、船橋拓幹、acre、山口渓、山内大輔
【原作】『文豪とアルケミスト』(DMM GAMES)
【監修】DMM GAMES
【脚本】なるせゆうせい
【演出】吉谷光太郎

【公演日程】
2019年12月27日(金)~12月29日(日)/大阪・森ノ宮ピロティホール 全5公演
2020年1月8日(水)~1月13日(月・祝)/東京・品川ステラボール 全9公演
【チケット価格】
指定席:8400円[税込]/サイド指定席:7400円[税込](東京公演のみ)
※サイド指定席は、一部舞台が見えづらい場合がございます。
※サイド指定席は東京公演のみとなります。
【チケット販売】一般発売中!

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【主催】舞台『文豪とアルケミスト』製作委員会