
『君と霧のラビリンス』に登場する男子生徒たちの日常を描くオリジナルSSの紫苑学院編をお届け!
登場人物 | |||
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春、紫苑学院──。
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凛堂 「あ〜、今年も紫苑学院はお花見客で大賑わいっすね〜!」 香月 「 紫苑は、学園島一の桜の名所だもん。そりゃ、そうでしょー。草薙先輩、部活動の希望予算一覧できました〜」 草薙 「ありがとうございます」 凛堂 「 あ、伽羅学園の生徒会のみんながお花見してるっす!! 全員揃ってるとは、珍しいっすねー」 土屋 「予算表こっちに貰っていいか? 生徒会予算も合わせて先生に確認する」 草薙 「お願いします」 凛堂 「 やっぱりご馳走食べてるんすかねー。いいなー、僕たちは仕事三昧っていうのに、向こうはご馳走食べて桜みて贅沢三昧じゃないっすかー。はぁ……羨ましいっすねー」
チラチラと3人に視線を送る凛堂に、3人の呆れにも近い視線が集まる。
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土屋 「何が言いたい」 草薙 「言いたいことは、言葉にして頂かないと」 香月 「圭くん、おとなげなーい」 凛堂 「大人げ……ない!? 後輩の弦に言われたくないっす。つーか、先輩って呼べ!」 草薙 「まあまあ」 土屋 「それで、言いたいことというのは何だ?」 凛堂 「そんなの決まってるじゃないっすか! おはな……」 土屋 「却下」 凛堂 「言い終わらないうちから却下するなら、聞かないで欲しいっすー!!」 土屋 「──と言いたいところだが、たまには生徒会メンバーで花見をするのもいいだろう」 凛堂 「会長〜〜〜!!」 土屋 「ただし……今日中にこの書類の山を片付けられたらな」
土屋がぽんっと叩いたのは、文字通りの書類の山。
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凛堂 「会長の鬼〜〜〜!!!」 土屋 「 ほぅ……花見はしなくていいということだな。草薙、頼んでいた花見弁当はキャンセルしておいてくれ」 草薙 「仕方ありませんね。唐揚げやピザもお願いしておいたのですが……残念です」 香月 「唐揚げ!?」 凛堂 「ピザ!?」 草薙 「ええ」 凛堂 「 〜〜〜っ! わかったっすよ! 今日中にこの書類の山を全部片付ければいいんすね!?」 香月 「……土屋先輩ってば、素直じゃないな〜」 土屋 「どういう意味だ?」 香月 「 お弁当を頼んでたってことは、前々から計画していたってことでしょ? 圭くんに言われる前から」 土屋 「……凛堂には内緒な」 香月 「 あはは、りょーかい☆ んじゃ、ぼくは書類の分別から始めるねー。それぞれが得意なものを 割り振った方が早いでしょ?」 土屋「ああ、頼む」
そして、書類の山はどんどんと低くなっていき……全て片付いたのだが。
凛堂 「夜じゃないっすか!! 真っ暗で何も見えないっすー!!」
外に出られたのは、19時すぎ。 日は落ち、外灯がほとんどない学園島は静寂の闇に包まれていた。
凛堂 「せっかくがんばって書類を片付けたのに……ショックっすよー」 土屋 「心配するな」 凛堂 「へ? 明日に延期とかそういうことっすか?」 土屋 「いや……草薙、頼む」 草薙 「はいはい」
草薙が校舎に戻って数分経った頃……。
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凛堂 「あ……」 香月 「うわぁ……すごい、夜桜だ! しかも貸し切りだよ〜!!」 凛堂 「会長、これって……」 土屋 「 先生に許可を取って、校舎の明かりをつけさせて貰ったんだ。これなら、夜桜が見えるだろ?」 凛堂 「 会長……僕、僕 ……感動っすよ!! 会長がこんなに僕 たちのことを考えてくれていたなんて!!」 香月 「 いや〜明かりをつける許可を貰ってたイコール、明るいうちには終わらないと踏んでたってことなんだけど……ま、感動してるならいっか☆」 草薙 「 ただいま戻りました。校舎の明かりだけではどこまで見えるか不安だったのですが……いい感じに見えますね」 凛堂 「貸し切りの夜桜なんて、最高っす〜!」 香月 「ほんと、調子いいんだからー」
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草薙 「近衛さんが作ってくれたお弁当を食べましょうか」 香月 「やった〜! ぼく、もうおなかペコペコだよ〜!」 凛堂 「弦は遠慮しながら食べるっすよ? 大食らいなんすから」 香月 「えー」 草薙 「その分も計算に入れて作って貰っているので、大丈夫ですよ」 香月 「やった〜!」 凛堂 「あ、ここがいいんじゃないっすか? 桜が一望できる特等席っすよ!」 香月 「いいね〜って、ここ……伽羅学園の人たちがご飯食べてたとこだね」 凛堂 「なっ!?」 草薙 「 ああ、白木院先輩の執事であるミハエルくんが朝早くから場所取りしていましたからね。彼はそういうところには抜かりないですし、ここが1番の特等席で間違いないと思いますよ」 香月 「さすがミハエルくん!」 凛堂 「 ミハエルくんじゃなくて、僕 を誉めろっす! シート敷くっすよ。弦、そっち持ってくれっすー」 香月 「りょーかい☆」 草薙 「お弁当は真ん中でいいですよね。はい、取り皿をどうぞ」 土屋 「悪いな」 草薙 「いえいえ」 香月 「近衛のおっちゃんの唐揚げ最高〜!!」 草薙 「ちゃんと噛んで食べないと、喉に詰まらせますよ」 香月 「そんな草薙先輩じゃないんだから……」 草薙 「なっ……!?」 香月 「あはは、半分冗談だよ〜☆」 草薙 「は、半分……?」 凛堂 「あ、見るっす! 桜吹雪っすよ〜!!」 香月 「きれいだねー!」 土屋 「……たまには、こういうのもいいものだな」 草薙 「ええ、本当に」
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