乙女ゲームで涙活、しませんか?

さまざまなテーマで乙女ゲームの歴史や魅力を紐解く不定期連載“乙女ゲームLabo”

第2回のテーマは、ずばり“泣ける乙女ゲーム”です!

☆オトメゲームラボ640-320

▼第1回はコチラ!
乙女ゲームの歴史をNo.1とOnly Oneでプレイバック【1990年代】
乙女ゲームの歴史をNo.1とOnly Oneでプレイバック【2000年~2009年】
乙女ゲームの歴史をNo.1とOnly Oneでプレイバック【2010年~】

数多ある乙女ゲーム作品のなかから、5人のライターがそれぞれ“泣ける乙女ゲーム”をテーマに珠玉の1本をご紹介するこの企画。

前編に続き、後編では3タイトルをピックアップ☆この機会に、ぜひプレイしてみてくださいね。

⇒前編はこちら!

※掲載は作品名五十音順です。

待ち受けるのは、切なさで死ぬんじゃないかというほどの展開

Text by ライターなま

『三国恋戦記~オトメの兵法!~』
発売日:2013年4月25日発売
ブランド:プロトタイプ/対応機種:PS Vita
※Nintendo Switch版が2018年秋発売予定

図書館で見つけた1冊の本をきっかけに、突然『三国志』に似た世界にトリップしてしまう主人公。右も左もわからない異世界で、各勢力の武将たちと出会い、恋に落ちる――。

2010年にPC版が発売されてから、現在PS Vitaでもプレイ可能な『三国恋戦記』は、そんな導入から始まるゲームです。

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(C)2013 Daisy2/PROTOTYPE

恋愛ADVの醍醐味は、何といっても攻略対象の心を紐解いていくこと

最初は頑なだった彼が主人公にだけ優しくしてくれるようになったり、明るくまっすぐな彼が主人公の前では弱い部分を見せてくれたり……。

本作は主人公と攻略対象の出会いから、そんな“醍醐味”に至るまでの関係や心の変化を、とても丁寧に描写している名作なのです。

なかでも私のいちばんのお気に入りは、森川智之さん演じる孟徳ルート!

冷酷な丞相として恐れられている彼ですが、主人公にはとても優しく甘く、ことあるごとに「好きだよ」とくり返します……超チャラい!

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主人公もそんな彼をどこまで信じたらいいのか戸惑うばかりなのですが、少しずつふたりは親交を深めていき――そんななか起こったとある事件から、孟徳の本心が見えてきます。

初対面で彼が言った、「君には嘘はつかない。約束する」という言葉の真意。頭がよくてずるい大人の彼が、抗えない恋に落ちてもがく姿。森川さんの「好きだよ」の演技は、それぞれに込められた意味が違っていて、聴いているだけでグッときます。

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恋愛の「好きだよ」、親愛の「好きだよ」、絞り出すように告げる「好きだよ」……。

両想いになるまでの過程って、丁寧に描かれれば描かれるほど感情移入度が高まりますよね。そういう意味では本作はMAX! も~ルート後半は切なさで死ぬんじゃないかという展開が続きます。

発売日当日、朝からプレイを始めた私は、ひとつひとつのセリフを噛みしめながら深夜にエンディングを迎え、その頃には全身の水分がカラカラでした。

ev_037_01 PSP版より追加されたハッピーエンド後の後日談のイベントスチル(孟徳)

ちなみに、エンディングのスタッフロール中、本編中の各シーンで“彼がどう思っていたか”というエピソードが流れるのですが、そこで描かれる彼の想いもまた泣けるので、最後の瞬間までお見逃しなく!

身分違いの恋……心が折れかけた先にある展開に涙!

Text by ライター菫野

『華ヤカ哉、我ガ一族 モダンノスタルジィ』
発売日:2015年4月30日
ブランド:オトメイト/対応機種:PS Vita

いままで多くの乙女ゲームをプレイしてきたのですが、エンディングの演出でここまで泣けるのか! と実感させてくれたのが『華ヤカ哉、我ガ一族』でした。

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(C)2015 IDEA FACTORY/ichicolumn inc.

大正時代を舞台に、宮ノ杜財閥の使用人として働く主人公の身分違いの恋が描かれる本作。次期当主の座を競う宮ノ杜家の6兄弟が恋のお相手となるのですが、けっして単純なシンデレラストーリーではありません

主人公はときに「ゴミ」と罵られ、ミスをすれば即座に“解雇宣告”を受けるなど、徹底した“階級意識”の洗礼を受けることになります。

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年齢も性格もバラバラなご兄弟のなかで、ライター菫野の涙腺が盛大に決壊させたのは、宮ノ杜家長男・正様のルート。もっとも当主の座に執着する、冷徹でプライドの塊のような銀行頭取です。

好きなものは使える人間、嫌いなものは頭の悪い人間という、なんとも攻略しがいのある人物でした。

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主人公は彼の信頼を得て、専属の使用人として当主を目指す彼を支えます。使用人である主人公に厳しく接する正ですが、しだいに不器用な優しさや、負けず嫌いな一面を見せることも……。

しかし、プレイも後半にさしかかり「ああこれはエンディングを迎えるのも時間の問題だな」と油断していると、“主人と使用人”という身分の違いが容赦なくふたりの仲を裂きます。

お互いに惹かれあっていることは明らかなのに、添い遂げられないもどかしさ

どうしようもなく心をかき乱された瞬間、結末を迎えるよりも前にAnnabelさんが歌うエンディング曲『キネオラマ』がフェードインし、そのままエンドロールへと突入します。

「え!? まさかのバッドエンド!?」と心が折れそうになったときに、再び物語が動き始めるのですが、この先の展開はぜひプレイして堪能して頂きたいです!

恋が破れたかと思った矢先に、ふたりの幸せなシーンが走馬灯のように流れるのですが、その緩急に泣かされた女子はきっと私だけではないはず。

プレイの途中でエンドロールが始まる粋な演出に、恋愛への没入感がグッと深まりました!

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すべてのエンディングを見届けて!

Text by ライターふで子

『吉原彼岸花 久遠の契り』
発売日:2017年10月12日発売
ブランド:プロトタイプ/対応機種:PS Vita
※Nintendo Switch版が2018年秋発売予定

華やかながら欲望が渦巻く新吉原遊郭と、“悲しき思い出”や“諦め”など悲しい花言葉を持つ彼岸花。そのふたつが合わさったタイトルから、すでに悲哀が滲みだしている本作を私からはオススメします!

『吉原彼岸花 久遠の契り』は、MariaCrownより2015年9月に発売された女性向けPC用ゲームをPS Vitaに移植した作品(Nintendo Switch版の発売も決定しました)。

新吉原遊郭を舞台に、“本当の恋”を知ってしまった最高位の花魁である主人公の、切なく激しい恋が描かれていくのですが……。

プロローグ
(C)2017 MariaCrown/PROTOTYPE

まず本作で魅力なのは非常に丁寧なシナリオと、花魁として自分の仕事を全うしようとしている主人公の性格。

プロ意識が高いことはすばらしいのですが、遊郭への理解が深まれば深まるほど、その考えを持つ主人公の苦しさが理解できます……。

好きな人ができても、花魁としてたくさんの相手と一夜をともにする。この花魁としての矜持は、どのルートでも感じられる本作の魅力ポイントです!

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また、個人的に涙してしまったのは、飄々としたナンパな雰囲気を持つ大月忍ルート。

主人公にもほかの遊女にも優しい忍は、ときにその長所が優柔不断さに変わることも……。この優しさと優柔不断さはエンディングにも影響していきます。

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私は彼のハッピーエンドと、それと対比するようなバッドエンドが好きなのですが、そのふたつの結末はどちらも自然!

バッドエンドを見たあとに、「あのとき、あの選択をしなかったら……」とつい想像してしまうような内容になっています。

少しのズレで変わってしまうふたりだからこそ、ハッピーエンドの幸せな姿が尊くて仕方がありません!

ぜひともすべてのエンディングを見てもらいたい作品です。

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